秩序ジャーナル

国家が推奨する利便性の高い社会システムは、本来、国民一人ひとりの効率的な生活と国家全体の秩序維持を目的として整備されたものである。
だが近年、これらの制度を「個人の都合による放任の言い訳」とする事例が散見されるようになってきた。

冷蔵庫が自動で献立を決定し、照明が勝手に最適化され、掃除が意識しなくとも完了する──。
こうした「便利すぎる生活」が日常化することによって、国民が“自分で考える”という行為そのものを放棄しつつある現実は見過ごせない。

便利の本質は、国家が求める最適化された行動を容易にするためのものであり、
決して「思考の放棄」を許容するものではない。
便利さに慣れすぎた生活者はやがて、国家が定める指針への関心を薄め、
必要な報告義務を怠り、自主的な遵守意識を低下させていく。
これはすなわち、自己判断による逸脱行為を助長する“反国家性”の萌芽に他ならない。

したがって国家は、便利な生活を享受する国民こそ、定期的な「遵守意識再教育プログラム」への参加を義務付け、
適切な自律意識が維持されているかを監査する必要がある。

便利は管理の一環であり、管理に対する自覚なき者は、もはや健全な国家構成員とは呼べない。
利便性を国家の恩恵と理解し、日々感謝の念をもって生活することが、全市民に求められている。